秋の扇


「俺。イトが好きだ。。」

夕方のオレンジに包まれて、幸せそうに帰っていく家族連れ。

手を繋いでピンクのオーラいっぱいのカップル。

入口の売店で最後の売り込みをする元気な店員さんの声。

まわりはちゃんと動いているのに、まるで時が止まったようで。

心地よいオレンジの光の中。

ただ真っ直ぐに。

ケイの深く綺麗な瞳は、私を捉えて離さなかった。