秋の扇


優しいアキがアキなりに一生懸命考えて出してくれた結果だった。

『......わかった。今までありがとう。』

私がアキにあんな顔をさせた。

何も言えなかった。

何も。

むしろアキの傍に私がいたらいけない。

そう思った。

『..これ。遅くなってごめん。あとこれも。。』

そう言ってアキは私の好きな雑貨屋の袋に包まれた小包と交換ノートを置いて行った。

いつも必ず手を振ってくれた帰り際。

真っ直ぐに前をみて一度も振り返らずに。

アキはいなくなった。

小包にはピンクのタオル。

遅れすぎた誕生日プレゼントだった。

そのタオルに顔を押し付けて声を押し殺して泣いた。

溢れ出る涙は止まることを知らなかった。