「...ケイ。」

ケイもただクラスメイトを眺めたまま言った。

「..大丈夫なのかよ。」

ケイはもう言わなくてもわかっている。

だけど自分の口から言わなくちゃいけないと思った。

「..私ね。赤ちゃん、できてた。」

ケイはなにも言わず、動かない。

「多分。産むと思う。殺したくない。...なんて綺麗事みたいだけど..」

「......おう。」

「お腹、目立ち始めたら、学校にはしばらく来なくなると思う。」

「...ああ。」

一度も私を見てくれない。

「......軽蔑した?..サイテーだよね。ごめんなさい...」

やっぱりケイは私を見ないけれど。

「...好きな奴に他の男の子どもができたってさ。。しかもソイツは親友。...正直、俺どうしたらいいかわかんねぇ..」

「......ごめん..」

「けど。ちゃんと力になれるように、する。だから今はちょっと考えたい..」

そう言うとケイは、どこかに行ってしまった。

「おい相羽ー!今有ヶ谷いなかったか?」

先生がケイを探すように辺りを見渡しながらこっちに来る。

「...いえ。来てませんけど。」

「そうかあー。なんだアイツ、サボりか?めずらしいな。」

適当に流すと、先生はブツブツ言いながら引き返して行った。