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『羽音!』




「お…かーさん???」





見るとそこは病室のベッドだった。




『心配したのよ、車に轢かれたって聞いたから…』


お母さんの声は涙混じりの声だった。




「ごめんなさい」



『いいのよ、足の擦り傷だけだったから』




「え???」




擦り傷だけ―――――????




ガラッ



「失礼します」



『先生!たったいま目が覚めたところです!』



「そうですか!それはよかった!」



先生はぁたしを見つめて優しく笑った。



「あの…ぁたし車に轢かれたんじゃ…」



「うん。だが君は擦り傷だけで済んだんだ。

これは奇跡だ」





奇跡―――…






「普通なら最悪の場合…死に至っていたでしょう」






死…???






なのに







そんな危険だったのに…







助かったの????







『ありがとうございました!』



母親が夢中で医師に頭を下げている。


「いえ、私達は何もしてませんから」


『あっ!!そうですよね!?』



アハハハハハハ










ひょっとして・…







達也が助けてくれたの???










ぁたしは達也の写真を取り出した。










きっと…達也が助けてくれたんだ…









ぁたしの目から一筋の涙が零れ落ちた。









ありがとう、達也




大好きだよ。








その時


ほんの一瞬だったけど


写真の中の達也が


ウィンクしたような気がした。