それ以上言えない私に、今度は芽衣が提案してきた。
「ねえ、夕。
…露村先輩に相談してみたら?」
「え?」
思わぬ提案に驚いていると、すかさず友ちゃんが反応する。
「あり、それはいい!!」
でも、そこまで頼っていいものかな…
先輩は優しいし、私の気持ちを分かってくれている。
だけどこの件について関係ないといえば、関係ない。
さすがにそこまで巻き込むのは迷惑だと思う。
いや、ジャージまで借りてしまっているし、すでに迷惑かけまくりなんだけど。
「夕。」
考え込んでいたのか、友ちゃんに肩をゆすられてはっとする。
友ちゃんの顔は、にやにやしていた。
全く、さっきのシリアスな雰囲気はどこに行ったのやら。
私は何となく嫌な予感がして、少し身を引いた。
「夕?今日の放課後、さっそく先輩に相談してきてね!」
「いや、今日部活」
「今日は夕は休み!昨日の今日だし問題ない!」
…やっぱり。
露村先輩が絡むと、途端にぐいぐい来るのはなぜなの。ほんとに。
「…分かった。」
会いに行くのは、昨日のジャージを返すのと、お礼を言うためだ。
これ以上、先輩に甘えるわけにはいかないことは、自分が一番わかってるから。

