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露村先輩は、私をしばらく強く抱き締めたあと、風邪引くといけないからってジャージを貸してくれた。
「俺は戻ってるね。…あ、何かあったら、これに連絡して?」
気を利かせてくれたのか、先輩はそのまま保健室を出ていった。
残された私は、放心状態。
ジャージに着替えながらも、考えることはさっきの出来事と、先輩のことだった。
あんなに酷い感情を吐き出した私を、恋をしていれば当たり前のことだと受け入れてくれた先輩に、とても安心した。
もう、蓮の顔を見られないと思うくらい思い詰めてたけど…
着たジャージを抱き締めるように、ベッドの上で体育座りをしてみる。
「露村先輩の匂いだ…」
ついさっき、先輩に抱き締められたことを思い出してしまう。
ジャージ越しだったけど、とっても暖かくて、そして優しかったんだ。
なんだか顔が熱い。
「ごめんねー、中原さん大丈夫?…ってあら?もう着替えてたのね。」
「…っあ、先生。もう大丈夫です!」
やば。先生が来たこと気づいてなかった。
「そう?…でも中原さん、顔が真っ赤よ?」
先生のニヤニヤした顔と、指さされたジャージの名前の刺繍に、もっと熱が顔に集まったのは言うまでもない。

