…*********



露村先輩は、私をしばらく強く抱き締めたあと、風邪引くといけないからってジャージを貸してくれた。




「俺は戻ってるね。…あ、何かあったら、これに連絡して?」



気を利かせてくれたのか、先輩はそのまま保健室を出ていった。





残された私は、放心状態。



ジャージに着替えながらも、考えることはさっきの出来事と、先輩のことだった。




あんなに酷い感情を吐き出した私を、恋をしていれば当たり前のことだと受け入れてくれた先輩に、とても安心した。




もう、蓮の顔を見られないと思うくらい思い詰めてたけど…




着たジャージを抱き締めるように、ベッドの上で体育座りをしてみる。



「露村先輩の匂いだ…」



ついさっき、先輩に抱き締められたことを思い出してしまう。



ジャージ越しだったけど、とっても暖かくて、そして優しかったんだ。


なんだか顔が熱い。





「ごめんねー、中原さん大丈夫?…ってあら?もう着替えてたのね。」



「…っあ、先生。もう大丈夫です!」



やば。先生が来たこと気づいてなかった。





「そう?…でも中原さん、顔が真っ赤よ?」

 


先生のニヤニヤした顔と、指さされたジャージの名前の刺繍に、もっと熱が顔に集まったのは言うまでもない。