「だめ。ちゃんと俺を見て。」
"蓮"じゃない、俺を。
ゆっくりと体を起こさせ、手を握った。
あ、震えてる…
「せんぱい…」
「ゆっくりでいいから、俺に吐き出してごらん。」
俺も、白々しいな。
本当は分かってるくせにさ。
「露村、先輩…私っ、まだ蓮のことしつこく好きみたいですっ…」
こんな事実。
分かってたけど、分かりたくなかった。
「私は!瀬川さんを守るためとか思っておいて、本当は自分の蓮への評価を下げたくなかっただけなんです…」
無意識の内なんだろう、ぎゅっと、俺の手を握ってきた。
そりゃそうだ。
気づくまでは遅かったけど、きっと無意識に好きだった時間を含めたら、相当な期間に違いない。
手に込められた力が、中原さんの思いの強さだとわかると、それに比例するように、俺の心臓が軋む音がした。

