──走って保健室までたどり着くと、息を整えつつドアを開けた。
「失礼しますっ…て、先生いないのか。」
とりあえず中に入ることにした。
と、
「…っ、………うぅ…」
くぐもったような泣き声が聞こえてきた。
多分、布団を被ってるんだろうな。
人に弱味を見せるのが苦手な、中原さんらしい。
俺はそのベッドに近づき声をかけた。
「中原さん…」
なるべく優しく。
そう思ってかけた、はずなのだけど。
「今は、放っておいてください。」
掠れた声から発せられる言葉はあまりにやつれていた。
突き放されたような気分になると同時に、悔しさが込み上げてくる。
あの屋上の時もそうだ。
きっと彼女は、布団の下であのときと同じような目をしているに違いない。
だからこそ今だけでも、アフターケアでもいいから彼女の話を聞いて和らげてあげたかった。
俺は、意を決して布団を剥がした。
「や、やだっ、!!」

