勢いづいて、中原さんのことを夕と読んでしまったけど、俺は言いたいことは全て言った。
…でも少し、肩入れし過ぎてしまったかも知れないな。
小走りになりながら、俺は考えた。
柄にもなく、怒鳴ってしまったし。
でもそれは少し許して欲しい。
他人事ではなかったんだ。
戸川蓮のあの態度。
それはまさしく、昔の自分と同じだった。
そして彼女である瀬川さんは俺の目には、確実に"あの子"と重なって見えたのだから。
これで、二人の関係がちゃんとしたものになるならば、少しは中原さんの負担も減るはず。
瀬川純は、不安さゆえに中原さんを頼りすぎてた。
この判断は、正しかったと思う。
もう授業が始まっているため、廊下には誰もいない。
さっき、水を被ったんだから、さすがに教室には戻ってないはず。
だとするなら、保健室かな。
あ、だったら。その前に自分の教室にいこう。
三年は選択授業だから、教室は使ってない。
俺は、教室にジャージを取りに行った。

