「…っ違っ、俺はそういうつもりで追いかけるわけじゃ、」



「…俺は、夕から色々聞いてる。
だから言わせてもらうけど、さ。

君、残酷だよね。」



失礼なことを言われてる。

いくら先輩とはいえ、さっき会って初めて喋ったようなやつに、だ。



だけど、怒りより先に困惑した。


「どういう、こと…?」



目の前の先輩は、ゆっくりため息をついて呆れたような視線を投げてよこす。


悪かったな、理解力なくて。



「彼女は大切にしてるんだろうね。
夕がそう言ってたから、その点は大丈夫なんだろう。

だからこそ、いっておく。
瀬川さんが大切なら、夕との距離のはかり方を考えるべきだ。」



夕との、距離のはかり方を…?


意味が分からない。



パッと純を見ると、彼女はその意味が分かったのか、俯いている。



「つまり、彼女と幼馴染みの境界線ははっきりさせろ、といってる。」



「なんでそんなこと、あんたに言われなきゃならないんですか?」



「そのお前の、幼馴染み離れできない中途半端な態度が、両方を傷つけてるっていってんだ、分かれよ!」



荒上げられた声に、驚いた。

そして、気づいてしまった。



(この人は、夕のことが好きなんだ…)



純は、さっきから顔を上げようとしない。