もう、なにも聞こえない。

なにも言えない。



私は、何をしたかったのだろう。


今ここに立つ私は、どう見ても"偽善者"じゃないか。




彼女たちは、どうやらここまでする気はなかったらしく、酷く慌てている。



「ちょっ、やりすぎだって!
逃げよ「ねぇ。」




聞こえた声に、薄汚れた何かが溢れだした。




「戸川君っ…!!」




「ねぇ。どうゆうこと?」


こてん、と首を傾げて可愛らしく笑う蓮だが、目が一切笑っていない。



「いや、その…「俺、そこまで優しく無いんだよね~。
あ、水浴びしたいなら、俺も参加しようかなぁ?ねぇ?」



「ぁ…」


今だかつて聞いたことのない、低い声に恐怖を感じた彼女らはもう声すら掠れてる。



「れ、蓮君!もう大丈夫だから!」


本気でやり返そうとしたらしく、瀬川さんが止めに入る。




「…次は、無いから。

散れよ。」



その声に、転げるように彼女らは去っていった。




…残された私も、散ってしまいたかった。