「残念ながら、本当だよ?」




少し伺うように、でもおどけて言えば。




「相手って、5組の瀬川純だよね!?」



知ってるなら、本人に直接言いたいこと言えばいいのに、なんて。

なんで私なんだ、なんて。




「幼馴染みなのに取られていいの!?」



──そんなの愚問だ。




「『幼馴染みだから』だよ。

蓮のことが好きなら、二人の幸せを願うのが一番だよ。」



にっこりと。

これ以上踏み込むな、という凄みを効かせれば。



その子はビクッとして小さく謝りながら去っていった。




ほら、こうすれば、いかにも大切な幼馴染みを応援する優しい幼馴染みに見えるでしょ?