「ねえ!戸川君と瀬川さんが付き合ってるのって本当なの!?」



台風が近づいている影響か、じめじめした空気は私中原夕の心を濁らせる。



少しでもぱたぱた動こうものなら、じわじわ汗がしみだしてくるのでイライラしていた昼休みに、そんな話を降ってきたのはクラスの戸川蓮ファンの女の子。




戸川蓮とは、学年でも有名人な可愛い系イケメン。
人懐こく、誰にでもフレンドリー。そして今時珍しく、ピュア。




その戸川蓮に彼女が出来たのだ。

そりゃ真意を確かめたくなるのも分かる。




そんな人の話を私に振ってくる理由は、一つしかない。






─私が、戸川蓮の幼馴染みだから、だ。