一つの部屋を大きな闇と共に閑静をも加勢しているようで、なぜだかこの部屋の空気は不穏な空気に変わっていた。もしかしたら、この空気は私が求めていたものかもしれない。
はるか遠くの山に住んでいる樵が薪割をし、その音が山々をこだましてやってきたような、私は今、そんな遠くにいるような気がした。
静寂が制するこの暗闇の下、私は存在する。
暗闇は閑静を一時も忘れないかのように、雲の動きも風も制す。窓を叩くことさえも許さなかった。
そんな時、何故こんな夜にあんなことを考え、こんなに穏やかでいられるのか、自分でも不可解で不思議でしょうがない気持ちに襲われた。今すぐにでも解明したいという気持ちも同時に芽生えている。というより、自分でもこれから解明しようとしていることが分かっているはずなのだが、その上に布団を掛けたいので掛けているだけだということを知っていた。隠したい。とにかく今の私を隠したいと深く望んでいる。
今、頭に浮かんでいるのは、好きな音楽、好きな映画、好きな本、たった一つの宝物、長く世話になった恩師、初恋の人、思い出の場所、昔の幼馴染、懐かしい親友、故郷にいる親族、母親、父親、祖父、死んだ祖母、そしていなくなった誠也であった。
誠也の顔が思い出され、頭に浮かんだ時、ほろほろと涙が目いっぱいに溢れ出た。布団の中で膝を身に寄せて、優しく足をさすった。足の中に顔を沈め、さらに小さくなる。今、私の気持ちはどうなのか、もはや理解できなかった。めぐる思いが体内を駆け巡り、それ以上のものは何もなかった。いつしかは誠也のことだけしか考えられなくなった。
もう、嫌だ。死にたい、今すぐにでも。早く死なせて、もう人生なんてないのと同然だ。なぜ冬の寒く冷たい日陰をいつまでも歩く必要があるか。日のあたるところに出たい。ああ、神様、私をお救いください、神様。
いくら願ったり、思いを自分にぶつけても、何も変わらない。そして行動に移す。だが私は無力だ。鉄アレイを持って、戦場の焼け野原のど真ん中に一人立っている。どんな気持ちで立っているのだろうか。何も感じない。何も思わない。何も考えない。せみの抜け殻のような存在であろうか。
そんな見えない存在を私に移入して、私は抜け殻となるのであった。
はるか遠くの山に住んでいる樵が薪割をし、その音が山々をこだましてやってきたような、私は今、そんな遠くにいるような気がした。
静寂が制するこの暗闇の下、私は存在する。
暗闇は閑静を一時も忘れないかのように、雲の動きも風も制す。窓を叩くことさえも許さなかった。
そんな時、何故こんな夜にあんなことを考え、こんなに穏やかでいられるのか、自分でも不可解で不思議でしょうがない気持ちに襲われた。今すぐにでも解明したいという気持ちも同時に芽生えている。というより、自分でもこれから解明しようとしていることが分かっているはずなのだが、その上に布団を掛けたいので掛けているだけだということを知っていた。隠したい。とにかく今の私を隠したいと深く望んでいる。
今、頭に浮かんでいるのは、好きな音楽、好きな映画、好きな本、たった一つの宝物、長く世話になった恩師、初恋の人、思い出の場所、昔の幼馴染、懐かしい親友、故郷にいる親族、母親、父親、祖父、死んだ祖母、そしていなくなった誠也であった。
誠也の顔が思い出され、頭に浮かんだ時、ほろほろと涙が目いっぱいに溢れ出た。布団の中で膝を身に寄せて、優しく足をさすった。足の中に顔を沈め、さらに小さくなる。今、私の気持ちはどうなのか、もはや理解できなかった。めぐる思いが体内を駆け巡り、それ以上のものは何もなかった。いつしかは誠也のことだけしか考えられなくなった。
もう、嫌だ。死にたい、今すぐにでも。早く死なせて、もう人生なんてないのと同然だ。なぜ冬の寒く冷たい日陰をいつまでも歩く必要があるか。日のあたるところに出たい。ああ、神様、私をお救いください、神様。
いくら願ったり、思いを自分にぶつけても、何も変わらない。そして行動に移す。だが私は無力だ。鉄アレイを持って、戦場の焼け野原のど真ん中に一人立っている。どんな気持ちで立っているのだろうか。何も感じない。何も思わない。何も考えない。せみの抜け殻のような存在であろうか。
そんな見えない存在を私に移入して、私は抜け殻となるのであった。


