「命懸けで生きていく中で、本当に守りたいモノが見つかったら……アイツは戻って来るよ、ここに」
捨て子の負い目を断ち切るのはショウ自身にしか出来ない。
そう言って引き止めもせずショウを送り出したカイに最初は冷たいと思った。
でも、
「ちゃんとおまえの愛情が届いてたから、ここにこうして戻って来たんだな。アイツは」
大切なモノを見つけて、それを守っていく為にショウはちゃんと戻ってきた。
「……いつでも信じて見守ってたのはアナタの方だったけどね」
「まぁ、それでバランスが取れてたんだろ。おかげで可愛くて一途で不器用な嫁さんも貰えたんだし」
「シュリが聞いたら泣くわよ。不器用って」
「ははは、そんな所も可愛くて気に入ってんだけどなー」
カラカラと笑い飛ばしながら、皿に盛り付けた焼き菓子をつまみ食いするカイの手を、リザはすかさずピシャリと叩いた。
呆れて溜め息をつきながら、お湯をティーポットに注いでいくリザに、
「姫。この先ずっと、俺の隣で俺の名前を呼びながら笑っていてください。俺は貴女の笑顔がどうしようもなく好きなんですっ」
「っ!!??」
不意に耳元で言われたかつてのプロポーズの言葉に思わず、ポットを落としそうになるくらい胸がバクバクと高鳴っていく。
「確かに息子の嫁さんも可愛いけど、俺が好きなのは自分の嫁さんだからな」
年甲斐もなく真っ赤になってしまった頬を慌てて押さえ、恨めしげに見上げてみる。
当のカイは悪びれた様子もなく、ニッと変わらない人懐っこい笑顔を浮かべていた。

