そんなリザの態度など意に介さず、
「怒るな怒るな。檀家さんから焼き菓子貰ったから、お茶にしようって呼びに来たんだ」
カラカラと豪快に笑ったカイが高級菓子店の箱を、得意顔で掲げる。
それでますます呆れてしまうものの、
「じゃあ、お茶淹れるわね」
これがカイなりの気遣いだと汲んで、リザは箱を受け取って寝室を後にした。
台所でポットにお湯を沸かしながら、リザは食器棚の奥に入れていた小さく折り畳まれた紙を取り出す。
「…………」
古く色褪せた紙の中に描かれた絵は、さっき話したショウが一番最初に描いた家族の絵だった。
リザがこれを最後に見たのは、ショウが騎士団に入る為に家を出た日。
家を出る直前の顔がどこか思い詰めたようにも見えたのは……感情が表に出ないショウの心がわかるようになった証拠。
しかし、それがわかっていながらも、ショウの心の内にあった闇を取り去ってあげることは出来なかった。

