「……えっ、なんで泣いてるんだ?」
なかなか戻って来ないシュリを探しに来たショウが、シーツを抱き締めて泣きじゃくるシュリに思わず面食らう。
「ショウっ!」
そのまま勢い良くショウに抱き付いたシュリを宥めながら、これは何事かと怪訝そうにリザを見た。
リザは困ったように笑いながら、壁の絵に目をやり、
「ちょっと昔話したら……ね」
こう一言だけ呟いた。
それでショウも何かを察したのか、それ以上何も言わずにシュリの頭をポンポンと撫でる。
「……ショウは、なんであんな絵を描いたの?」
涙の残る瞳をゴシゴシと擦り、腕の中から見上げたショウにシュリは真剣な眼差しで問い掛けた。
あれ以来ショウとリザのわだかまりもなくなり、たまにカイが疎外感を感じるとぼやくほど仲良くなったので、敢えてあの絵の話に触れることはなかった。
だからその答えをリザは知らない。
思わずショウの横顔を見つめる瞳に熱が籠もった。
二十年余りの時を経て、ショウから聞かされた答えは、
「母さんが来てくれたのが嬉しかった反面、自分は二人にとって邪魔なのかもしれないって……複雑な気分だったんだ、あの頃」
あの頃カイが予想していた通り、二人に遠慮していたからだったのだ。

