「お義母さん。これって、誰が描いたの? ゼン?」


ある日の昼下がり。
洗い上がったシーツを持ったシュリが、カイとリザの寝室に飾られた二枚の絵を見上げた。


一枚はクレヨンで描かれたあどけない線で、家と二人の大きな人と小さな一人の人の姿。
見るからに小さな子どもの絵だった。


もう一枚は絵の具で描かれた水彩画。
赤ん坊を抱っこした女の人と、傍らには男の人と手をつないだ男の子の四人が描かれている。
さっきのクレヨン画より、幾分か年上の子どもが描いたような絵だった。


「それ、ショウが小さい頃に描いたのよ」


「ショウが!」


ショウの名前を聞いた途端に目を輝かせるシュリに、思わずクスクスと笑いを零したリザ。


「先に言っておくけど、譲らないわよ。これは私の大事なものだから」


そう言いながら二枚の絵を見上げるリザの目が、懐かしさと愛おしさで細められる。


絵を見つめながら浮かぶのは、かつてこの家に嫁いだ頃のことだった。