母さんの葬式が終わった後、仕切っていたのはまだ12歳の姉さんだった。

父さんはと言うと、生気が失ったように部屋に籠ってる。

泣くのを必死に堪えて、姉さんは親戚のおじさんおばさんと話してる。

なんで皆姉さんにやらせんだよ…。
父さん、なんで来ないんだよ…。

耐えてる姉さん見てられなくて、僕はその場から逃げた。

少し行くと、見たことがあるおじさんたちがいた。

話しかけようと近づくと、会話が聞こえた。

「父親がいるんだから、引き取らなくて良いだろう?」
「違うわよ。父親、壊れたらしいわよ?ほら、だから、さつきちゃんが仕切ってたんでしょ?」

聞かなきゃ良かった。
引き取る?何を?
僕は離れたくない。この家から絶対。

「引き取るって言っても、うちは無理だな。息子がいる、一人でさえ大変なのに二人なんて…」

その言葉が火種となり、大人たちは誰に僕らを“押し付けるか”言い争い始めた。