大和という男は、黒塗りの車で来てわたしの前に降り立った。
『藍染 有花はリストに乗ってしまったんだ。だから、彼女はこちらで処理させてもらう。』
『どういう、意味…?』
『簡潔に言えば、藍染 有花は俺達に狙われるって事だよ。』
それが何を意味するのか、有花ちゃんから聞いた話で予想はつく。
わたしは心臓が嫌な音で騒ぐのを無視して、大和という男をにらんだ。
有花ちゃんは何もしていない。
何の理由もなしに、こんな事に巻き込まれるなんて…。
悪い噂の聞く『EnD L』は、やはり悪者だった。
『猶予をあげるよ。…妹の代わりにキミが、此方に来て。うちのトップが、どうやらキミに興味があるらしいんだ。』
わたしはその場に崩れ落ちた…。
「…有花ちゃんの代わりになるのくらい、構わなかった……。でも、わたし……有花ちゃんを守りたい…。」
わたしが向こう側にいったからと言って、本当に有花ちゃんが狙われない確立なんてない。
だったら、唯一『EnD L』に対抗できる存在に頼るしかなかった。…それが、皇 麗夜だった。
「…お願い…っ。何でもする。…わたし、麗夜くんの奴隷にでもなるから…有花ちゃんを、助けて…。」
「………碧、藍染 有花に護衛付けろ。」
皇 麗夜の言葉に下げていた頭を上げれば、まるで悪魔の姿がそこにあった。
そうしてわたしは彼の、碧くんで言う所の皇 麗夜のモノになったのだ…。

