友達に誘われて『EnD L』の溜まり場に行った有花ちゃんは、何故か幹部の人にしつこく迫られたという。
彼らもまた、見目麗しい人達で有花ちゃんは彼の誘いに胸をときめかせた。
けれど、友達の何人かがいきなり錯乱し始めて、幹部の人達がその友達を別室に連れて行ったという。
怖くなった有花ちゃんと残りの友達は、身動きがとれないまま錯乱状態の友達を心配していた。
『…ねぇ。何があったの?』
思い切って有花ちゃんに迫っていた幹部の一人に聞いてみても何も教えてはくれず、異様な雰囲気に有花ちゃんは逃げ出したらしい。
その翌日、錯乱状態だった友達の三人が学校を退学し、その原因も不明だと言われた。
混乱する有花ちゃんに、昨日一緒に逃げた友達が真っ青な顔で言った。
『EnD L』は、女の子を薬漬けにして強姦して売っている。狙った女の子は逃げられない。追い詰められて、彼らの手に落ちる。
…その三日後、その友達は有花ちゃんの前から姿を消した。
…泣いてわたしに縋る有花ちゃんを抱き締めながら、ここ数日部屋に閉じこもっていた彼女の不安と恐怖に胸が痛む。
もっと早くに気付いてあげれば…。
わたしは有花ちゃんを落ち着かせると、意を決して行動に出た。
『EnD L』の幹部の内、よく彼が訪れるCLUBに赴いて接触した。
それが、大和という一見爽やかなお兄さんという印象の男だ。
面倒は苦手なわたしは、単刀直入に有花ちゃんに何もしないでと頼み込んだ。
『…キミは、藍染 有花のお友達?』
探るような口調と視線に体が強張る。
『…姉、です…。…妹はまだ中学三年生…だから、手は出さないで…。』
『キミの名前は?教えてくれないと、今すぐにでも妹さんを襲うよ?』
大和という男は何処までも非情な事を口にするくせに、嘘っぽさを感じさせた。
それが不思議でたまらなかった。
『藍染 十百香、です…。』
『………やっぱり、ビンゴ。』
そういうなり、止める間もなく大和という男は何処かへ行ってしまった。
大丈夫、なのだろうか…。
不安は残ったまま、有花ちゃんは元の生活に戻ったけれど、特別異変はなかった。
けれど、それから数日して…。
大和という男は、わたしの前に現れた。

