ネオン




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藍染 十百香 Aizome Tomoka。


わたしは今、ここ一帯を統一させている不良グループ『NeON』の溜まり場とされているCLUBの一室にいた。


…どれだけ無謀な事をしようとしているのかくらい、この部屋の空気を感じれば分かる。痛いほど突き刺さる好奇と敵意の視線。


騒がしいCLUBの中にあるこの部屋には、下で大音量を鳴らす音楽すら微かにしか聞こえない。


…わたしだって、普段は避けたいる場所にいたくなんてない。面倒事は避ける質だし、これからしようとしている事は今までで一番の面倒事になるはず。


…だけどもう、そんなこと言ってられない状況になってしまった。
こうするしか、わたしが『あの子』を助けれる手段がないから。


「…お、我らが王様のご登場だ。」


わたしに好奇の視線をやっていた男が、何処か愉しげに呟いた。
その言葉と同時に、部屋の扉が開き空気をガラリと変える威圧感が充満した。


…『NeON』現トップにして、誰もが崇拝する王様。


創られたかのように冷たくて、完璧に整った美貌。


何の感情も表さない鋭い瞳。


スラリとした長身の肢体には、バランスのとれた筋肉が。


『NeON』のトップ、


皇 麗夜 Sumeragi Reiya 。


わたしと皇 麗夜の視線が、静かに交差した…。