葵はこの春から桜咲学園中等部へ入学したばかり、6月に行われる一学年合宿のクラス委員になり催し物の準備を決めるのに急いでいた。
ある休日、クラス委員の仲間達と準備を進める為グランドで集合した時の事だった。仲間の明弘が小学時代からの親友隆彦を連れてやってきた。
葵はその時グランドに設置されているアスレチックに登っていたがそこから降りてくる事ができなかった。隆彦から一瞬も目が離せなかった。
その後、隆彦は帰り教室で準備を進めている間も葵の頭は隆彦でいっぱいだった。
翌日、放課に前の席の明弘の元へ誰かが教科書を貸しにやってきた。
葵はまるで夢で会った人に会えたかのように驚いた。隆彦だった。
葵の一目惚れが初恋だった。
葵の初恋は幸せに満ちていた、隆彦の姿が見えるだけで。