トントン。
君はどんな顔をするのだろうか。

驚いた顔? 嬉しい顔? 怒った顔?

ちょっとしたワクワクを抑えて、君が出てくるのを待った。

「はーい。どちらさ…………」

君は腫れた目で此方を見てくる。期待と不安が要り混ざった顔で。

君は涙を溢した。思わず抱き締めた。君は温かい。今なら君に話すことも触ることも許されますよね。

「もう離さないでね。」

…胸がチクリと痛んだ。なんだろうこの感覚。
悪いことをしたような。
狐にはわからなかった。