「女神様………………これは許されるのでしょうか。」

今日は三日月の晩。月に向かって人間が1人、何かを誓っている。

「私は、1カ月間だけ、あの方の近くに居たいのです。そして傷口が癒えるまで…………」

泣く君へ。僕が出来ることはただ1つ。
君に笑顔を届けること。

狐はいつまでも三日月を眺めていた。


トントン。

「誰かしら。もう、お葬式は済ませたからしばらく来る人はいないと思うのに。」

私は泣いて腫れた目を隠しながら玄関を開けた。

「はーい。どちらさ…………」

そこには彼が立っていた。

あの時と変わらない彼が。

「なっ…………んで。死んだんじゃ。」

胸の奥から込み上げてくる熱いものが目からこぼれ落ちた。

「一人にしてごめん。でも、もう大丈夫。」

彼はそう言って私を抱き締めてくれる。

……………………あれ?
彼はこんなに冷たかった?
欲しかった温もりがもらえず私は焦る。
でも、あなたが帰ってきてくれた喜びの方が強くて。

「もう離さないでね」

「……………………うん。」