優等生を演じていた私は、それから少しずつ壊れていった。中学校に入学してバスケ部に入ってからは、本当にひどかったかもしれない。


「久温ちゃん!」

「先輩、どうしたんですか?」

「部活さ、決めた?」

「まだですけど…テニス部に入ろうと思ってます」

「そっかぁ…。あのさ、お願いがあるんだけど…。バスケ部はいらない??!」

「え!バスケ部ですか?!」


正直最初はその気はなかった。中学校に入学する前からテニスがやりたいと思っていたからだ。というより、運動ができない私は、運動部の中でも一番楽な部活を選ぼうとしただけだったのだが。


「バスケ部、部員少なくてさ…、廃部の危機なんだよね。久温ちゃんが入ってくれたらなんとかなるんだけど…」


そうなると弱い。そんなこと先輩に言われたら、そうするしかできない。だってそれを望まれてるんだもん。入るしかないでしょう?


「そうなんですか。いいですよ!入ります。下手くそですけど大丈夫ですか?」

「本当に!!ありがとーーー!!!久温ちゃんいい子すぎて頭上がんないわ!!」

「いやいや、少しは興味あったので~」


そんなこんなでバスケ部に入ったわけなのだけど。案の定、私の体力では練習に付いていくのがやっとだった。
それでも真面目な私は、練習には真剣に取り組んでいた。だけど、見えないどこかで、それは私を蝕んでいったようだ。


慣れすぎたのかもしれない。自分を押し殺すことに。


いつの間にか、体力的にも精神的にも疲労が溜まっていっていた。学校の宿題や予習さえままならなくなった。1学期が終わる頃にはもう、学校には行きたくなくなっていた。