「わあ、素敵な名前ですね。」

だから正直、彼女がそう言って嬉しそうに微笑んだとき、素直に嬉しかった。

「僕が唯一、大事にしてるものなんだ。」

つい、笑顔になってしまった。

「あ。笑った。」

彼女はすかさず笑顔で指摘した。

「私もね、シン。気に入っているんですよ?」

笑顔のまま彼女は言い放った。

「亡くなった母が遺してくれた名前だから。」

.........

「真っ直ぐに、生きなさいって...」

僕は硬直していた。

「.........僕も、です。」

「え、?」