「俺、お前知らないし」 「なんで?忘れちゃったの?」 「人違いじゃない?」 「私、二ノ宮奈都芽 幼稚園のころ、よく遊んでたんだよ 家に泊まりに来たり ピアノ教室だって一緒に…」 「…」 「本当に覚えてないんだ」 「奈都芽…か、やっぱり知らない 悪かったな」 「仕方ないよね、さ、坂上君昨日はありがとう…あと今朝も」 「身体は大丈夫なのか?」 「なんとか…それじゃ私、行くね」 “知らない" 絶望的な一言だった。