あれから5日が経った。長州浪士たちがいうことが本物ならば、今日、男たちは屯所を襲撃するために集まる。


殺られる前に殺る。


ってことで、今夜、奇襲をかける。


集まるところはすでに目星がついてある。


壬生村にあって、100人もの人が泊まれる廃屋はあそこしかない。


昨日、すでに下見は済んである。いつもよりもずっと念入りだ。


私が、斬る浪士のノルマは約50人程度。殺さないまでも、危害を加えればいい。


浪士たちは、激励のために春風が来ると思っている。


文を出しておいたのだ。


『激励したいので、お伺いします』


大体そんな内容のものを。勿論、私が書いたものではない。土方さんが書いたものだ。沖田さんと近藤さん曰く、土方さんは女性的な繊細な字を書くそうだ。


私にわかるはずもないことだが。


とりあえず、浪士たちに言いたいことがある。


あなた方は馬鹿なのか。100人もの人が動けばどんなに鈍感な奴も気付く。そんなことにも気付けないのか。


「ハールー!」


「…………」


今夜の準備をしていると、甲高い女性の声が聞こえてきた。


咲洲だ。


ここ何日間で、何故かよく私と関わろうとしてくるようになった。


「何してんの?」


「………貴女に関係ありますか」


「あるある!」


「…………」


どんなに冷たくしても、突き放しても、彼女は全くめげない。


寧ろ、嬉々として私に向かってくる。


なんなのか。彼女は実はドMだったりするのだろうか?


なんにせよ、人と絡むことが好きではない私にとって、いい迷惑だということは確実に言える。