「あーーーっ!くやしいっ!!」
私は悔しさのあまり、その場に倒れ込んだ。
疲れたってのもあるけど。
「なー……土方さん。これ、なんの試合?」
平助が異常に悔しがる私を見て、怪訝そうに土方に聞いた。
「んあ?それはな…」
「私が、隊士になってもいいかってゆーテスト!試験!」
「はぁぁぁっ!?んなのダメに決まってんじゃん!!」
平助も、土方と同じ反応をする。
みんな揃って何なんだよ。
あー!もう、こうなったら、最終兵器近藤さんだ!近藤さんでダメなら渋々諦める。
「近藤さんっ!」
「なんだい?玲那くん。素晴らしい試合だったよ」
下心満載で近寄ってきた私に、にっこりとお父さんスマイルをお見舞いする近藤さん。
うっ……!眩しい!後ろめたさがある分、さらに眩しい!
心の中で土下座する勢いで謝る。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。こんな私を許してくださいっ!!
「あ、ありがとうございます〜。あの、それでお願いがあるんですけど…」
「あっ、コラ!咲洲!近藤さんを使うんじゃねぇ!!」
近藤さんに近づく私に気付いた土方が私を指さして大声で怒鳴る。
ごちゃごちゃうるせぇなっ!!
「トシっ!女子にそんなことを言ってはダメだろう。玲那くん。言ってごらん?」
あのうるさいゲス方を黙らせ、私にさらに優しい笑顔で話しかける。
紳士……!ジェントルマン!!
「私、女中じゃなくて、隊士としてここにいたいんです。新選組の役に立ちたいんです!」
「玲那くん……」
近藤さんは私の話に戸惑いを隠せないみたいだ。黒目が右往左往してる。
「駄目、ですか?」
「それは…女子だし……」
「私をそこらへんの女と一緒にしないでください!守りたいものは、自分で守るんだ!」
私は近藤さんの目を真っ直ぐ見た。
もう、私の力不足で誰も失いたくないんだ。そのために努力だってしてきた。
この時代に来て、大切だったものはなくなった。でも、今度は何も知らないけど私を受け入れてくれる新選組が大切になった。
一日か二日で、こんなに信頼できる人たちは初めてだ。
私はこの人達に全てを捧げたい。
女中なんかじゃ、その願いは永遠に果たせないんだ!
「お願いします!!!」
頭を下げた。腰を折って深く。
「玲那くん……」
少しの沈黙の後、近藤さんは口を開いた。
「よし、分かった!君を一番組隊士にしよう!」
「本当ですかっ!ありがとうございます!!」
「近藤さん!!」
土方が滅多に見ない、本気で怒った顔で私と近藤さんの間に割って入る。
「俺は認めねぇぞ!女にそんなことさせられ……」
「トシ。見たか?彼女の目を。ここの平隊士よりもずっと武士らしい目をしていたよ」
「だからってなぁ……!」
「女子だから、か?」
「あぁ、そうだ。こいつに人殺しなんて出来ねぇ」
「トシ。女子でも、武士になれる者はいる。きっと彼女がそうだ」
近藤さんはふいに土方に向けていた視線を私へと移す。
その瞳の無垢さと真っ直ぐさに思わず吸い込まれそうになる。
「もちろん、無理はさせない。無理だと思ったら女中のみをしてもらう………どうだね?」
「…………チッ」
土方がもどかしそうに舌打ちし、私の前から退く。
どうやら、それは承諾したという意味らしい。近藤さんが、さらに優しげに、嬉しそうに笑ってる。
「勝手に条件をつけてしまったが…無理は絶対にしないこと。いいね?」
近藤さんは私に一歩近付き、確認する。
迷うこともなにもない。私は思い切り首を縦に振った。
私は、そうして新選組の隊士になることができたのだ。
私は悔しさのあまり、その場に倒れ込んだ。
疲れたってのもあるけど。
「なー……土方さん。これ、なんの試合?」
平助が異常に悔しがる私を見て、怪訝そうに土方に聞いた。
「んあ?それはな…」
「私が、隊士になってもいいかってゆーテスト!試験!」
「はぁぁぁっ!?んなのダメに決まってんじゃん!!」
平助も、土方と同じ反応をする。
みんな揃って何なんだよ。
あー!もう、こうなったら、最終兵器近藤さんだ!近藤さんでダメなら渋々諦める。
「近藤さんっ!」
「なんだい?玲那くん。素晴らしい試合だったよ」
下心満載で近寄ってきた私に、にっこりとお父さんスマイルをお見舞いする近藤さん。
うっ……!眩しい!後ろめたさがある分、さらに眩しい!
心の中で土下座する勢いで謝る。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。こんな私を許してくださいっ!!
「あ、ありがとうございます〜。あの、それでお願いがあるんですけど…」
「あっ、コラ!咲洲!近藤さんを使うんじゃねぇ!!」
近藤さんに近づく私に気付いた土方が私を指さして大声で怒鳴る。
ごちゃごちゃうるせぇなっ!!
「トシっ!女子にそんなことを言ってはダメだろう。玲那くん。言ってごらん?」
あのうるさいゲス方を黙らせ、私にさらに優しい笑顔で話しかける。
紳士……!ジェントルマン!!
「私、女中じゃなくて、隊士としてここにいたいんです。新選組の役に立ちたいんです!」
「玲那くん……」
近藤さんは私の話に戸惑いを隠せないみたいだ。黒目が右往左往してる。
「駄目、ですか?」
「それは…女子だし……」
「私をそこらへんの女と一緒にしないでください!守りたいものは、自分で守るんだ!」
私は近藤さんの目を真っ直ぐ見た。
もう、私の力不足で誰も失いたくないんだ。そのために努力だってしてきた。
この時代に来て、大切だったものはなくなった。でも、今度は何も知らないけど私を受け入れてくれる新選組が大切になった。
一日か二日で、こんなに信頼できる人たちは初めてだ。
私はこの人達に全てを捧げたい。
女中なんかじゃ、その願いは永遠に果たせないんだ!
「お願いします!!!」
頭を下げた。腰を折って深く。
「玲那くん……」
少しの沈黙の後、近藤さんは口を開いた。
「よし、分かった!君を一番組隊士にしよう!」
「本当ですかっ!ありがとうございます!!」
「近藤さん!!」
土方が滅多に見ない、本気で怒った顔で私と近藤さんの間に割って入る。
「俺は認めねぇぞ!女にそんなことさせられ……」
「トシ。見たか?彼女の目を。ここの平隊士よりもずっと武士らしい目をしていたよ」
「だからってなぁ……!」
「女子だから、か?」
「あぁ、そうだ。こいつに人殺しなんて出来ねぇ」
「トシ。女子でも、武士になれる者はいる。きっと彼女がそうだ」
近藤さんはふいに土方に向けていた視線を私へと移す。
その瞳の無垢さと真っ直ぐさに思わず吸い込まれそうになる。
「もちろん、無理はさせない。無理だと思ったら女中のみをしてもらう………どうだね?」
「…………チッ」
土方がもどかしそうに舌打ちし、私の前から退く。
どうやら、それは承諾したという意味らしい。近藤さんが、さらに優しげに、嬉しそうに笑ってる。
「勝手に条件をつけてしまったが…無理は絶対にしないこと。いいね?」
近藤さんは私に一歩近付き、確認する。
迷うこともなにもない。私は思い切り首を縦に振った。
私は、そうして新選組の隊士になることができたのだ。

