そこで、可愛い男の子を見つけた。


肩につかないくらいのサラサラショートでくりくりの黒目。鼻は小動物みたいに小さくて唇は少し厚めで、ぷっくりと赤みがさしていた。肌も透き通るように白くて、そこら辺の女の子よりもずっと可愛いが似合ってる。


無邪気な笑顔で私に抱きついてきた。146cm位で、そのコンパクトさが可愛さに拍車をかけていた。


それが……あの子が……よりにもよって土方の小姓なんてぇぇえ!!!


それを知ったのは幕末に来て2日目のことだった。


「ねぇねぇ、土方。あの可愛い子が見当たんないんだけど」


お昼になってもあの男の子の姿は見ることはなかった。幹部の人達と一緒にいたから、ただの平隊士ではないと思うんだけど。


すると、憎き土方は、心底めんどくさそうに


「土方さん、だろ。可愛い子って誰だよ…………あぁ、春のことか。春はしばらく居ねぇぞ」


「えぇぇぇー!!どうしてだよ!」


「うるせぇ、俺が少し遠くに用事を頼んだ。」


「はぁっ!?なんて可哀想なことすんだっ!あの子はあんたの小姓でもないだろ!?」


「…お前こそ何言ってんだ。春は俺の有能な小姓だ」


一瞬、いや、しばらくその場でフリーズした。


「…………えぇぇぇー!!!!」


「うるせぇ、さっさと部屋に戻れ」


なんでもないように私を手で追い払おうとする土方だが、私にとってはかなり大きな問題で。


「ひっ、土方、あんた、その、ハル君を襲ったりしてないだろうなっ!?」


小姓って、あの森蘭丸みたいなやつだろ!?織田信長とその、夜に…ゴニョゴニョしてたって説があるし…


私のその言葉に心外だというように土方は怒鳴った。


「はぁっ!?何言ってんだ!あいつは男だ!俺にそんな趣味はねぇっ!!」


「ほんとかねぇ?ハル君、そこら辺の女よりも可愛いからね」


「それはそうかもしれねぇが、俺は男を求めるほど女に飢えていねぇよ」


さっき焦っていたのが嘘のように今度は鼻で私を笑い始める土方……いや、最早ゲス方だ。