誰かに揺られている感覚で目を覚ました。


「………ん。ここは……?」


「あ、起きた?」


肩に担がれているのか、後ろの方から声が聞こえた。


辺りを見渡してみると、今時提灯なんかを使っている。


そして、それに照らされて見えるのが、男たちが着ている和服と、鮮やかな水色に近い色の羽織と、そして、刀らしきもの。


………それにちょんまげまでしてる。時代劇の撮影か何かか?でも、どうして…。私は死んだ筈なのに。


「君さ、なんでこんなところで寝てたの?そんな見た事もない格好でいるなんて馬鹿なの?」


私を担いでいる男がいきなり私を罵倒する。


「はぁっ!?ば、馬鹿じゃねぇ!」


「馬鹿だよ。そんな目立つ格好してたら、追い剥ぎに遭って死んでたかもしれないんだよ?そんなのも分からないなんて馬鹿でしょ」


こいつ……!初対面の人に対して馬鹿を言い過ぎだっ!!


「…ってか、早く下ろせ!!」


この男、身長が高いのか、私と地面にはかなりの距離がある。


少し怖いのと、肩に担がれたことなんてなかったので、気恥ずかしさで抵抗を試みる。


結構私の力は強いから、このひ弱な男ならすぐに下ろしてもらえるだろうと思った。


「抵抗しても無駄だよ。……いたいなぁ、やめてよ」


だけど、中々私の攻撃は男に効かない。



そうこうしているうちに何処か屋敷みたいなとこに入っていった。


そこの看板に書いてあったのは『新選組屯所』。


その日から私は、あの歴史に名を刻む新選組と暮らすことになるなんて思ってもいなかった。