「けんど!もう安心なが。何故ならあし達があの忌まわしき新選組を滅ぼしてやるほんやきな!!」


藩士Aがとうとう口を割った。いや、本人にはそんな自覚はないだろう。


あるのは新選組を嫌う健気な芸妓を安心させるために自分たちの計画をはなしてやったというものだけ。


私は信憑性を確かめるためにさらに追い討ちを掛ける。


「ほんまに?いつやるんどす?」


「なぜ、あんたがそれを聞きたがる?」


藩士cが私に鋭く聞いてくる。酔っ払っているのにそれくらいの警戒が出来るなんて、この藩士の中では頭は切れる方なのかもしれない。


どちらにせよ、低能だということには変わりないけれど。


「いやどすな。最近新選組がこの店に来るようになって、怯えてるんどす。
今日は来るんやろうか?バレないやろうか?と。そないな不安要素がいつ消えてくれるのか、知っとった方が気が幾分か楽になってます」


「それもそうか。今日から一週間後だ」


だけど、すぐに私の言葉に納得して、日にちを教えてくれた。


「あと一週間でこの悪夢も終わるのどすね」


「あし達は先人切って新選組を斬る!そうだ、前日は新選組の屯所の近くの廃屋に泊まるつもりだ。来るか?ざっと100人くらいだがな!!」


「あら、旦那様もお人が悪い。あたしは新選組がねぎ(隣)にいると思うだけで震えが止まらなくなるんどすよ?」


藩士4人は私の冗談めいた言葉に大笑いし、騒がしく宴会をしはじめた。


とりあえず、全員の酒に睡眠薬を仕込んで、早めのおやすみについてもらった。