「さ、いきましょ」


「えっ……?」


桜さんは私の手をふわりと握り、ゆっくりと風呂場へと向かう。


菊田さんとは違い、繊細で、柔らかくて、優しさが滲みでている。


「え?ではおまへんどすよ。湯船が何処にあるか分かる?それに転んだらえらいよ?」


と心配そうに言われたが、実際、昨日のうちに湯船と洗い場の距離は測ってあったし、湯船の深さも把握した。
それに床はタイルじゃないから転ばない。



「桜さんにそんなことさせられませ……」


「ごちゃごちゃ言いまへん!!人の好意は受け取るものよ??」


桜さんの気の迫力と私の女の子不足のせいか、私はコクコクと首を縦に振ってしまった。


「それでええんどす」


私は満足気に言った桜さんにもれなく連行された。