金髪で、口調も荒い、素行も悪い、女だと思えない女が来た。いや、あれが女だと認めたくはない。


あれが女だと言うならば、春のほうがずっと女らしい。いや、あいつ、男だけど。


総司に挑発され、門へと向かうと、総司はニコニコと気色の悪い笑みを浮かべていた。


なんだよ、こいつ。気持ちワリィな。


そう思ったのも一瞬で、よく視てみると、女を担いでいるのが分かった。


胸元ほどの金の髪をもち、見た事のない
、白い衣服を身にまとった、どこかキツい印象があるが、綺麗な顔立ちをした女だった。


金の髪……。外人か………??


そう思ったのも一瞬で。


そんな考えは次の言葉で彼方へぶっ飛んでいった。


「君、日本人じゃないよね。髪の毛の色、違うし」


「だぁーかぁーらぁ!!外人じゃねぇって!!この髪は染めてんの!そんなことも分かんねぇの!?」


見た目多分、女だけど、お、女じゃねぇ!!


女がそんな言葉遣いをするなんて考えられなかったし、断じて認めたくなかったので、内心、女の言葉遣いにふためいた。


「………土方さん、どうされましたか…?」


春が、俺たちの見えないところで声をかける。


正体が見えないのが、その女の不安を掻き立てたらしく、殺気を含んだ声で叫んだ。


「誰!!」


「うるさいな、君。黙ってよ」


「………あぁ、幹部を広間に召集しろ」


春は女の鋭い声にも何も反応を示さず、ただ一言「御意」と言って音もなく消えた。


「今の、誰!!」


総司の肩で暴れ回る女。


「ちょっと、うるさいなぁ。耳が痛いよ」


総司もイラついているようだ。


「さっさと降ろせっ!!」


敵対心丸出しで総司を睨み付ける女。女といえども、迫力はある。


「………土方さん」


総司が目で俺に合図する。


『気絶させてもいいですか』


俺は静かに頷いた。


その瞬間、総司は肩から女を降ろし、腹に鉄槌を喰らわせて気絶させた。


「あーぁ……。ほんと、メンドクサイの拾っちゃった」


「てめぇで後始末しろよ」


「はいはい」


「取り敢えず、寝かしておけ。春は用意してんだろ」


「うわぁ……。春くんすごっ……。土方さん、人使い荒い!」


「うるっせぇ!!」


総司が俺を汚物を見るような目で見てくるが、この際、色々と抑え込んで無視とする。