待つこと10分程。


遠くから足音が聞こえてきた。


複数聞こえるから、近藤さんと、土方さんと、沖田総司かな。


そうこう考えているうちに、襖が開く。


ストンと座る音が3つ聞こえる。


ってことは、やっぱり、あの3人だ。


「春くん、いやぁ~、待たせたね!」


やけに明るい声で私に言う。


「早速、お前の試験結果を言う。……合格だ」


土方さんがさらりと言う。


正直、ほっとした。


これで不合格ならば、私はここを出て、新しい仕事を探さなければならない。


やっと、割りの良い仕事を見つけたというのに。


「ありがとうございます」


そう言って座ったまま礼をする。


「良かった!本当に良かったよ、春くん!」


近藤さんが歓喜あまったように私の肩を叩く。


当然、男性の力なので、痛い。


それを隠しながら、私は苦笑を浮かべた。


「………大変ありがたいのですが、言っておかなければならないことがあります」


「ん?なんだい、春くん」


「………何だ。春」


近藤さんは上機嫌で、土方さんは警戒心を強めて言った。沖田総司は何も言わず、私に視線を送るだけ。


「俺は、まったく目が見えません」