ハルが、私の提案に乗ってくれた。


それは、とても小さなことかもしれない。


でも、ハルと新選組に絆が生まれることで、何か、いい方向へと向かうはずだ。



一人でうんうんと頷いていると、ハルが相変わらずの単調な話し方で私に言った。


「早速。あなたは何かを隠してる。無理にとは言わないけれど、それを教えて」


ハルの何の感情も感じられない声が、私の身体の奥にズンッと錘を落とす。


「え…なんで?」


「あからさまに隠し事している人間を信用したりはしない。それに、興味を持つきっかけになるかもしれない」


絞りだすように答えると、ハルは私を真っ直ぐに見て、切り返す。


まぁ………そうなんだろうけど。


ハルの言い分に納得しつつ、昔のことが蘇っては消え、蘇っては消えていく。


それに比例して、私の息も荒くなる。


ハルも、私の異変に気づいたらしく、2、3回私の肩を軽く叩いた。


「………無理強いはしない」


「…………わ、りぃ」


心臓に手を当てて、目を思いっきり瞑り、深呼吸をする。


息もだいぶ落ち着いてきたところで、ハルにお礼を言って、言い訳をした。


「ごめん。私の昔は、この時代の未来だから、今はあんまり上手く話せねぇや」


ハハッと、分り易すぎるくらいの乾き笑いが私の唇から漏れてしまった。


「そう……。あなたが言えるようになったらでいい」


ハルはそれにあえて触らず、「それじゃぁ」と部屋に戻ろうとしてしまう。


「ちょっ……!ハル!?」


私は、まだ話したいのに!!


ハルを引き留めようと腕を掴もうとするけれど、さらりと抜けてしまった。


ハルは、スッ……と音もなくふすまを開けると、ピタリと立ち止まり、ふと思い出したかのように一言言った。


「現代用語の意味の心配なら、しなくていい。………私も、この時代の人間じゃないから」


とてつもなく大きな爆弾を落として、部屋へと入っていったハル。


はっ…………はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!?!?