「……っはぁ。ほんとにこっちで合ってるの?」


「あぁ」


僕たちは、今、悲鳴が聞こえたところを目指して走ってる。


だけど、聞こえたのは一瞬で、本当にこっちなのか、不安だけど、一くんはこっちだと言い張る。


「別にいいけどさ」


「違ったらお団子奢ってよ!!」


「……承知した」


僕は走る速度をさらに上げた。


一くんもそれに合わせて上がってくる。


そのせいで、僕たちは気付けなかった。


僕たちが進んでいた道の少し横にあった、黒い影に……。