私の目がまだ見えていた頃。


「……ここが、これから君が生活する部屋だよ」


そう言って、見知らぬ男に連れてこられたのは十畳ほどのフローリングの床の部屋。


その右の角で、4人の同じくらいの女の子たちが互いに身を寄せ合い、震えていた。


皆、何故か目を布で覆っている。


ここ、何…………?


私の頭に浮かんだ、その二つの単語。


私は、両親が事故に遭ったから病院に連れていくと言われ、ついてきたのに。


「ママと、パパ、いないよ?」


男をみようと振り返ろうとしたが、それは出来なかった。男に肩を捕まれていたのだ。


男がしゃがんだと思ったら、次の瞬間には私の視界は真っ暗になっていた。


後ろでキュッと布を縛る音が聞こえる。


何?いやだ。怖い。


そう思ってとっさにその布を取ろうとする。


そうすると、首に何か冷たいものが当てられた。


「布は外しちゃいけないよ。外したら、もう二度とパパとママに会えなくなっちゃうよ?」


そう言い終わると、冷たいものが私の首に食い込んでいく。


「いたッ……!」


やがてプツンと肌が切れ、そこから少しだけたらりと生ぬるい液体が流れた。


私の体がカタカタと震え始める。


本気だ。……この人、本気だ……!


そこで、私は初めて身の危険を感じ、悟った。


私、ゆうかいされたんだ。


これから毎日『今日、死ぬかもしれない』という恐怖とた闘わなきゃならない。


私の目から一粒だけ、涙がこぼれた。



















パパ、ママ、助けて─────