探している途中、人の気配を感じたが、走っていたのか、すぐにその気配は遠ざかっていった。


きっと、あの男の叫び声を聞き付つけてきたのだろう。


やっぱり、移動しておいて良かった。


もうしばらく歩いていると、近くに、風が吹き抜けるような音が聞こえた。


洞窟なのか、古びた小屋なのか、分からないけどとりあえずそこに行くことにした。


そこに近づくに連れ、冷気が流れ込んでくる。どうやら、洞窟のようだ。


私は慎重に足を進め、やっと、洞窟の入り口へとついた。


ピチャン……


水滴がしたたる音がする。それが洞窟の中で反響し、その洞窟がある程度の広さがあることを教えてくれる。


私は、その洞窟を15歩ほど進み、そこに男をおいた。

そして、私の着ていた衣服も、その洞窟の地面に穴を掘って埋め、洞窟を出た。


そして、一晩寝られそうな木を探した。


もう、小屋を探すのはめんどくさい。


手を前に出しながら歩いていると、トンと木の幹が当たった。


その木にガバッと抱きついてみる。


結構な太さのある幹だった。


よし、ここにしよう。


するすると木を登り、太い枝の分かれ目に腰を据え、体を預けて眠った。