キミダカラ




「千尋。歩くの遅い」

「まって!沙耶〜」





すると、急に強い風が吹いた。


反射的に目を瞑る。





―――――あ、懐かしい…。



あたしの大好きな匂い。




「………ッ!理玖ッ!!!」





自転車にのっている男の人が振り向いた。




――――――――――理玖だ。





嗚呼…。
会いたかった…………。





でも、彼は声をかけず去った。






千尋に優しく微笑んで―――――。