「猪股。おはよ」
「おはよう、聖くん。毎日大変だね。このバカの相手するの」
聖くんは、頭が良い。
なんで、この学校に入ったんだろうってときどき疑問に思う。
「まぁね…。疲れるよ、毎日」
「やっぱり〜?」
聖くんとすこし話していると、真奈さんに呼ばれた。
「千紘〜!はーやーく!」
「はいはい。どうしたの」
この時点で真奈が栗山先生の話をすることを、あたしはわかっていた。
だから、窓の外を眺めていた。
入学した頃、桜が満開だったのに、今はもう葉桜になっている。
時間って進むの早いなと、しみじみ思った。
「おい!稜!急げってー」
「もー、むり。いいじゃん。どうせ遅刻だし」
駐車場に向かう人影がみえる。
…2人かなぁ。
おや?
なかなかのイケメン。
はい。
あたし、面食いなんです。
かっこいい人ってみてるだけで、幸せになるよね。
てかてか、HR終わってるよ…。
大丈夫かなぁ、あのひとたち。
そんなことを考えながら、しばらく外を眺めてた。
