月の女神




手にはプリント。机に座ったまま後ろを向いていて。


そのまま視線を後ろにずらせば

回収している子が立ち止まっている。

どうやら、そこで回収が止まっているらしい。

しばらくして、

自分で止まっていることに気が付いたその生徒は何か、一言二言回収の子に告げた。


回収の子は頷いて、その子を飛ばして用紙を回収しだす。


「1人まだ書いてます」


「うん、ありがとう」

回収してそれを持っていた束に加えながら、あと一人を待つ。


机に向かって、ゆっくりとだけど未だにシャーペンを走らせてくれている。



時々止まりながら、困ったように首を傾げるのを見て申し訳なくなった。


そんなに長々…書いてくれているのだろうか。


指摘されるのかな。そんなに書かなくても大丈夫だよ。と思ってしまう。


……あ。

本来授業が終わる時間のチャイムが鳴ったと同時。

その子はシャーペンを置いて用紙を持ってきた。

「遅くなってすみません」

「ううん、ありがとう」


申し訳なさそうに頭を下げたその子に


僕はお礼を言って用紙を受け取る。


受け取って、すぐに教室を出た。