「あ、」
「おっ、いたいた」
ゆっくりと生徒にまぎれて資料館に入ってきた結真。
「どう?ちゃんとやってる?」
「…他の先生が解説しながら先導してくれてるから、僕は簡単な補足説明かな」
その言葉に、先頭の方を見る結真。
「へー…良かったじゃん」
「まぁね。…そっちはどうだった?」
美術館の方も行って見たかったけど、僕は今回ずっと資料館だから。
それが苦ではないけれど、両方見学できる結真がちょっとうらやましい。
でも結真はあまり興味が無かったのか、聞けば、軽く考える。
「んー…あんまり良く分かんなかった。特には」
「はは、そっか」
「やっぱ詳しい人連れて行かないと全然分かんない。でも、たまにはいいかもね。…陽太残念」
「え、早川先生ずっとこっちなの?」
そっか、と聞いていれば、結真と一緒に来ていた生徒が、僕たちの会話を聞いていたのか見上げながら聞いてくる。
「そうだよ。今日はずっとこっち」
答えてあげれば、少しかわいそうな目で見られた。
「美術館の方、行きたかった?」
…うーん…。
美術関係に詳しいわけでもないし、そこまで残念ではないけどね。
「……どんなものかは見てみたかったかなぁー…さ、回りますか」
列を乱さないように促しながら、さっきと同じ順路を回る。



