月の女神


美術館の入り口の方を眺めれば、こちらと同じように集まっている制服の塊。


あの中に、るなが。

そして、

きっと数時間後には。


僕がここの教師だってことをるなが知るだろう。


少しは思い出してくれるのかな…。


変な緊張が、襲ってくる。

















―――資料館の説明は、僕のほかにも日本史担当の先生は何人かいて。


その先生が先頭を切って説明しながら歩いてくれるから

僕は自分の担当クラスの子とまわりながら、その子たちに質問されれば詳しく解説しながら歩いていくってだけで良かった。


普段は歴史に興味がないような子でも、ここに来れば歴史について勉強するしかないからか、レプリカがあるから興味がわくからか積極的に質問をしてくれて。


僕自身も楽しみながら回ることができた。


「じゃあ、普通科の人は美術館の方へ移動してください」


ちょうど一周回って元の場所に戻ってきた時。


美術館へとつながる方から英語科の生徒たちがやってきて、


入れ替わるように普通科の生徒たちが美術館の方へと流れていく。


「じゃぁ、順番に行きますよー」


さっきと同じように、年上の先生が先導して行く中。