『おいっいそげっ』 せっかく着せて貰った子供用の浴衣を、なりふり構わず振り乱しながら駆けていく蒼ちゃんの背中を、私と祐くんが追いかける。 『そうちゃん、まってよぉ~』 慣れない浴衣と下駄でどうも上手く走れない私。 『ほら、せんりっ』 祐くんが手を差し伸べて、私をリードしてくれる。 『おせーぞ、おめーらー!花火はじまっちまうだろー!』 せっせせっせと細い秘密の裏道を抜けると── ──ドーン!! 『うわぁ…きれい…』 真っ赤な花が空に咲いた。