レインドロップ


適当な場所に座ろうとして、レジャーシートが無いことに気づいた。

毎年必ず祐が持ってきていたんだった。

「地べたでいいよ」

千里も気づいたようで、地べたにそのまま腰を下ろす。

重い雰囲気のなか、花火大会が始まった。

赤、青、黄色、色とりどりの花火が空を飾る派手なオープニング。

『すごくあかるい…。花火ってお星さまみたいにきらきらだねぇ、ゆうくん』

『花火は火薬からできてるんだよ』

『かやく?』

『それかばくはつしてるんだ』

『ふーん…。ゆうくん、ものしりだね!』


そして様々な形の仕掛け花火。

『お?なんだこの形?』

『ハートマーク!ピンクいろだもんっ』

『え、桃じゃないの…?』

『え…ゆう…それはちょっと…』

『ゆうくん……』

『桃…』

『だんげんする。それだけはちがう』