放課後
「蒼ちゃん!」
昇降口前で待っていた千里と落ち合う。
「じゃーな!蒼!」
「おう」
「さっ、佐伯さんもバイバイ…!」
そんなキョドった声で、不自然だぞマサト。
「あっ…えっと…バイバイ」
この人、誰?
と小さく訊ねてくる。
おまえのファン。
なんて言えるはずもなく…
「変人」
「えっ!?」
適当に答えたけど、事実。
肩を並べて歩き出す。
「お前さ、ベリィガールにスナップされたんだって?」
「あ…うん」
「俺知らなかったんだけど」
「だってティーンズ雑誌なんて読まないでしょー?」
「せっかくのネタだったのに、惜しいことしたぜ」
「あ!からかうつもりだったんでしょ?ふーんだ」
「いてっ」
わざと鞄を俺の肩に軽くぶつけてから、拗ねたように前を行く。
俺の数歩前で、背中まである内巻きの髪が揺れている。
「物好きなカメラマンもいるもんだな」
「うるさい」
本気で怒ってないことなんてお見通しだ。
俺が冗談で言っているだけだってことも、きっとわかっている。