レインドロップ



─蒼─


俺─…瀬戸蒼が教室に入ると、クラスメイトのマサトが寄ってきた。

「ちっす!…なあ蒼」

何やら目がニヤついていて落ち着きがない。

「何だよ、気持ちわりーな…っておい!」

俺の首に手を回され、そのまま教室の角まで連れて行かれる。

というか、この姿勢だと連行されてるという方が正しい。

「…ったく!」

「お前ってさ…」

「だから何だよ」

マサトのヒソヒソ声につられて、声のボリュームを下げた。

「佐伯千里と知り合いなの?」

「……は?」

「よく一緒にいるよな?」

突然の以外な質問に一瞬目が点になる。

何でこいつが千里のこと知ってんだ…?

そんな俺の様子を察したマサトが続ける。

「結構有名人なんだぜ?3組の佐伯って。清楚で優しくて明るくて美人!髪の毛なんてすっげーサラッサラじゃん?あんなすにみつめられたら…俺…」

話しているマサトの目にはいつの間にかハートマークが…

「あのさ…千里ってそんな…」

「で!どうなんだよ!知り合いなんだろ?!」

言うほど夢みたいなやつじゃないぜ、という言葉は消された。