「ね…蒼ちゃん」
見てほしいことがあった。
自信は無いけど、今なら出来る気がした。
「見てて」
ポカンとした蒼ちゃんに顔を向けて、これまで少しずつ少しずつ練習してきたことをやる。
唇を開いて、口角をあげて、楽しかったことを思って……
「ねぇ蒼ちゃん」
出来てる?上手?
「私、笑えてる…?」
あの日から、穴の開いた暗く沈んだ私の心を、蒼ちゃんはあったかく包んでくれた。
自分の事はお構いなしに、ずっとずっと私のそばにいてくれた。
私の前では、一度も泣かなかった。
だから、見せたい。
祐くんと、そして蒼ちゃんに。
心配しないで。
その証を。
「上手に…笑えてる…?」
‘私は大丈夫’
その証を。
「……いい笑顔じゃん。ブスの割にはな」
祐くん
私、笑えたよ
きっとがんばれる
心配なんて、かけられないもんね
見上げた空には小さな雲がひとつ、ふわふわと浮かんでいた。
